昭和だぞ(笑)なのにミリタリーパンクな戦争映画
独立愚連隊(1959/岡本喜八監督)
今日は佐藤允の命日だああああっ(12月6日が命日)
…なのに命日に投稿するはずだった新曲が出来上がってないというボカロPのあるまじき現状(汗)
せめてお気に入りの映画の感想だけでもと、今回は彼の代表作を紹介します。
太平洋戦争最中、中国大陸を彷徨う従軍記者の荒木(本名:大久保軍曹/演:佐藤允)は、唯一の家族であった弟の死の真相を探る為、日本軍の陣地である将軍廟に乗り込み、そこで弟が独立九〇小哨隊、通称独立愚連隊と呼ばれる部隊にいた事を知る。そこで弟は、慰安婦に恋をし、共に心中したと知るが、その死には闇に隠された真実があった。荒木は真相を暴く為に、日本軍の暗部に乗り込む―――。
戦争映画って、反戦を訴える作品が主なんだが、この作品は180度引っくり返したアクション物という、自分が思ってた戦争映画その物のイメージを引っくり返した映画。
軍曹の階位を捨て、従軍記者に変装し、愛する弟の死の真相を暴く為に躍起するワイルドマコちゃん(当時25歳。全然そう見えない)の雄姿に酔いしれる。
彼に立ちはだかる日本軍の暗部に中丸忠雄(後の電送人間。この特撮も傑作だから必見)。この人も当時二十代とは思えないほど顔が凛々しい。
独立愚連隊の面々には、後に喜八組とも言われるクセ者俳優陣が揃い踏み。江原達怡、堺左千夫、中山豊はこの頃から出演。それを束ねる愚連隊曹長に、後の風車の弥七である中谷一郎(当時29歳前後。あのゴツイ無精ヒゲでやで)。特にマコちゃんとミンクさん(中谷さんのあだ名)が対になって言い合うシーンは、(当時)俳優座研究所四期生同士というのもあって演劇を見てる感覚になってグッド。
他に中国人馬賊のヤンに鶴田浩二(当時は東宝所属だった)。その妹に上原美佐(伝説のツンデレ女優(褒め言葉)、馬賊の一員に沢村いき雄と、東宝映画でおなじみの面々が揃う。
本作で最も特筆すべきなのは、現在ではタブー視されている従軍慰安婦を肯定的に描いている事。
その慰安婦で本作のヒロインであるトミ。演じるはひばりいづみチエミ三人娘の一人、雪村いづみ(最近(2025)でも徹子の部屋に出てた。89歳(2025年現在)でこの美貌は驚き)。荒木こと大久保に惚れ込み、彼を追う姿は正に一途だと感じる。慰安婦達の恋愛もあったであろうと想像した喜八監督の観察力は凄い。
橋の川辺で洗濯しているトミと先輩慰安婦の中北千枝子。そこに現れたのはまさかの世界のミフネこと三船敏郎。しかも(軍上層部の策略で不意打ちされて)頭を打って吹っ切れた大隊長でカメオ出演。そのセリフが凄かった。
洗濯してる慰安婦二人に対して、
三船「貴様らはそれでも帝国軍人かあああっ!!!貴様ら〇玉あるのかないのかあああっ!!!」
ふてほど(正しくは不適切にもほどがある。というタイトルのドラマなんだが、自分は未見)でも片づけれない程、確実にアウトに近いどころか完全にアウト(特に女性に対して)。
それを「あるわけないだろー、バカだなあ」と吐き捨てる中北千枝子の肝っ玉ぶり(爆)。
ガチで戦争映画とは思えない明るさ(と際どさ)で画面いっぱいに喜八節が炸裂してるんだが、クライマックスでは、まさに戦争の悲惨さが際立つのも喜八節。
弟の死の真相を暴き、再び愚連隊に合流した荒木。将軍廟で八路軍の進軍を見届けようとしたが、居場所がバレて銃撃戦へ。しかし多勢に無勢、愚連隊は次々と倒れていき、残るは荒木と軍曹のみ。
「毎朝新聞、行くぜえええっ!!!」曹長の号令と共に二人は挑むが…
夜が明けて、無数の死体が転がる中、馬賊のヤンらはその中で倒れている荒木を見つけ出す。しかし彼は奇跡的に生きていた。
愚連隊達が葬られるのを見守った荒木。
「死にたくない奴はみんな死んだ。生きててもしょうがない俺だけが生きてる」
その言葉の重みに、戦争に翻弄されて無残に散っていった人々への思いがヒシヒシと感じられる。
正に、"おかしゅうてやがてかなしき"。喜八流の反戦への思いが込められたラストシーンである。
本作のヒットを機に、東宝は後に戦争アクションシリーズとなる愚連隊シリーズを世に送り出す事になる。その序章となった一本。
☆×4(人に薦めたい)
(2025.12/6)
※2025.12/8追記:このレビューを見てくれた佐藤允の息子さんで映画監督の佐藤闘介監督から指摘があって、江原達怡さんのヨシの漢字の出し方を教えてくれました(感謝)。"怡(ヨシ)"という名前を出す際には"い"で変換すれば出てくるそうです。皆さん、"い"ですよ、"い"。