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​加山雄三は学生よりも軍人が似合う(個人の意見)
​独立愚連隊西へ(1960/岡本喜八監督)

北支前線にて全滅し、行方知れずになった軍旗を探すため、戦死報告後に帰ってきた兵士達で集められた、通称"独立愚連隊"と呼ばれた左文字小隊。リーダーの左文字少尉(演:加山雄三)とそれを支える戸川軍曹(演:佐藤允)、そして曲者揃いの面々。同じく軍旗を狙う梁隊長(演:フランキー堺)率いる八路軍との攻防を描いた本作は、前作(独立愚連隊)とは繋がりは一切無く、愚連隊自体が主軸として描かれている。

左文字を演じる加山雄三は同年の「男対男」という映画でデビューし、本作が出演二作目にして初主演という異例の抜擢。

前作で主演だった佐藤允に負けず劣らずの魅力を放つ。

でも、正直に言うと、自分の中の若大将(後の加山さんのニックネーム)のイメージは若大将じゃなく軍人のイメージが合うと思ってる(個人の見解)。

​この映画の翌年に若大将シリーズが始まるのだが、自分は一、二本しか見た事がなく、あまりシックリ来ない。逆に戦記映画で幾度も軍人を演じる彼ばかり観ていた為、自分としては加山雄三=軍人というイメージがついてしまったのだ。

軍人を演じる加山は意外とカッコよくシックリくる。ハッキリ言って軍人が似合うのだ。後の「太平洋の翼」「ゼロファイター大空戦」でも、仲間を思いやる軍人を演じ、存在感抜群。正直若大将のイメージしか思ってない人にも、軍人加山の雄姿を観てほしいものだ。

話を映画に戻そう。ジョギング中の愚連隊は同じくジョギング中の八路軍に取り囲まれてしまう。しかも目の前には八路軍の女性兵が食料を運んでいた。愚連隊はその女性兵目掛けて激走する作戦を決行。それに気づいた女性兵も必死に逃げる。追いかける愚連隊。特に戸川軍曹は女性兵の後ろ姿を見て、でっかく叫んだ。

佐藤「見ろおおおっ!あのケツでっけえぞおおおおおっ!!!!!」

ふてほど(正しくは不適切にもほどがあるというドラマなんだが、自分は未見)でも片付けられない程、確実にアウトに近いどころか確実にアウト(特に女性に対して)(この前も言ったなこれ)。

双方とも走りぬいて疲れ果てて、結果的に双方とも軍使で交渉。おかげで戦闘にならずに済んだものの、必死に走ってる時のフランキー堺の女の子走りに吹いた(爆)。

​キャストも喜八映画でおなじみの面々が揃い踏み。堺左千夫、中山豊、江原達怡、山本廉といった喜八組常連はもちろん、前作で曹長として活躍した中谷一郎は情報屋で再登板。しかも慰安婦所を営むというダブルワーク。連隊隊長を演じる平田昭彦が彼を"ピー屋"と言っていたので、自分も最初はその意味が分からず普通の言葉と思ってたが、よく調べたら、慰安婦所という意味で蔑語と分かり、普通に言ってた自分を反省(陳謝)。

そして本作のヒロインである水野久美と赤チンこと衛生兵の江原達怡との悲恋は号泣もの。

更に前作では悪役だった中丸忠雄日本人に扮した八路軍のスパイとして再登板。ラストで美味しい見せ場を醸し出してくれる。

ラストも爽快だ。軍旗を見つけ出したのは良かったものの、堺左千夫が戦死し、八路軍に取り囲まれた左文字の部隊。玉砕も考えたその時、援軍が駆け付けた。軍旗捜索の際に左文字の部隊と愚連隊は別れて行動していた。左文字部隊が進んでいたのに対し、愚連隊分隊は数日間同じ場所をグルグル回りながら歩いていた(方向感覚がバグってる)。トラックを走っていたミンクさん(中谷さんのあだ名)に気づいてもらい、ピンチの左文字隊に応戦した。形勢逆転で難を逃れた左文字隊。戦死した堺の葬儀を行い、弔った。

「いい奴だった」

「いや、おかしな奴だったよ。勝手に死にやがって…ホント、おかしな奴だ」

現実に戦地にいた人々は自分が死ぬか生きるかさえ不安に襲われていたかもしれない。しかし、いざ死んだとなると、弔ってもらえたり笑って送られたりと、そんな日々が続いてたと思うと、現実に生きている奇跡を嚙み締めざるを得ないセリフでもある。

現実に戦争を経験した喜八監督だからこそ伝える事が出来るセリフだ。

その時、八路軍の本隊が現れ、再び厳戒態勢に。しかもあのジョギングの時の梁隊長の部隊だ。早速軍使で交渉開始。​相手は軍旗をもらいたいと言い出すが、スパイの中丸、燃やしてしまったと嘘をつき、梁隊長も受け入れた(多少は気づいていたが)。ついでに孤児も引き取ってもらいたいと、中谷と一緒にいた少年を梁の元へ。その少年は孤児かつ農民に虐げられていたのを見て、中谷が一円五十銭を払う代わりに引き取った少年だった。ところが少年は梁から離れて走り出し、中谷の元へと帰ってきた。余程中谷が好きだったのだろう、中谷も受け入れた。そして梁は部隊に対して標的を空に変更。「天に向かって撃て!」と祝砲を挙げるがごとく撃ち上げて退却していった。梁の心遣いに左文字ら愚連隊も祝砲を上げた―――

前作は全滅という結末だったが、本作は少し戦死者も出した(江原と堺)ものの無事本部へ帰還。その後転属を命じられるが、その際、子供の教育上よろしくないと言って慰安婦所を辞めた中谷が合流(少年も含めて)。かくして愚連隊は新たに歩き出すのであった―――。

こんな爽快なラスト見た事ない!!って思ったほど、見た人がスカッとする様なラストはさすが喜八節だと思ったとも言えるエンディングは、元気が湧いてくるとも言ってもいい活力剤の一本。

☆×4(人に薦めたい)

(2026.1/19)

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