渡辺裕之に捧げられた、冴島大河からの花束
牙狼TAIGA(2025.雨宮慶太監督)※ネタバレ注意
最初に言っておこう、思いっきりネタバレしてます。まだ見てない方はご注意を。
魔戒騎士を目指す大河少年はある男から剣の稽古を受けていた。その男から守る為の剣を学んでもらい奮起する。
そして時は流れ12年後、牙狼の所号を得た魔戒騎士となった大河(演:北田祥一郎/この映画でこの役者を知った。しかも見た目と面影が若い頃のナベさん(渡辺裕之)そっくり)は魔導輪ザルバ(声:影山ヒロノブ)と共に、日々ホラー狩りの日々を続けていた。
夜釣りをしていた中年男。演じるはダチョウ俱楽部のリーダー(肥後さんね)しかも正体はキャンドリアという炎を操るホラー。見た目に反しておっかねー。コンテナ置き場にて大河はキャンドリアとガチでカッコ良すぎる剣戟を繰り広げ、最後は牙狼に変身し(必ず99.9秒のカウントが出てくるのも乙な演出)、キャンドリアにとどめを刺して事なきを得る。
そしてある日、番犬所からある指令が入り、魔戒導師の吹奇(演:神嶋里花)が派遣される。彼女が言うには、代々守られてきた、聖獣が封印された羅針盤がホラーによって奪われたという。大河はその羅針盤の奪還を頼まれた。
羅針盤を奪ったのは蛇毒ホラーの蛇道(演:瀬戸利樹/エグゼイドファンならおなじみ)。羅針盤に封じ込められた聖獣は、人間の肉体に宿る事で擬態化する事が出来、蛇道はその擬態化した聖獣を喰らおうとしていたのだ。聖獣を宿らせようとして人質に捕らえられた人の中に、スタイリッシュハゲ(褒め言葉)のひょうろくさんが目立ってて笑えるw
大河は敵の罠にハマったフリをしてアジトの潜入に成功。人質を救い、少し苦戦するも蛇道を倒し、羅針盤の奪還に成功する。ところが、吹奇が羅針盤を調べると、聖獣の一つである白虎の魂だけが解き放たれてしまっていた。
その白虎は、ひょうろくの体に取り憑き、人間体の姿を露見した(演:波岡一喜)。早速白虎は街を彷徨い、そこで飲み会をしていた若者達(アナログスイッチという劇団員達だが、その中には雨宮慶太監督の娘さんもいるので必見)と意気投合して、彼らの前で豪快な飲みっぷりを披露する。
一方、残された三聖獣の命で白虎を探す事になった大河は昔を懐かしむ。何故なら白虎は12年前、大河が幼い頃に剣の稽古を教えていたのだ。
そして、白虎を見つけ出し、再会に喜ぶ大河。白虎も幼い頃に自分が稽古した少年が魔戒騎士になったのを見て喜ぶ。
二人は久々に出会ったのを祝い、互いがどんなに強くなったか戦闘ポーズを構え、いざ勝負と思った矢先、心配で探していた吹奇に止められる。合流し、カフェの場で大河と吹奇はそこで白虎の悲しい過去を知る。それは80年前、100年に一度、聖獣達が人間になれる一日に、一時的に人間体になり、他の聖獣と共に温泉に入っていた白虎だったが、風が気持ち良かった為、湯船から上がり、風に当たっていたが、雷を受け気絶してしまい、たまたま通りかかった村の女性に助けられる。後に彼女は妻となり、二人の間に子供も授かり、仲睦まじく暮らしたが、息子が5才になった時に、法師達が居場所を見つけ、迎えに来た為、家族は別れる事に。その時白虎は、息子に形見として、爪を渡していた。その爪の挙動を感じ、息子がようやく見つかったと語る。老いた息子はとある屋敷でひっそりと暮らしていた(演じるは蛍雪次朗。牙狼ではゴンザでおなじみ)。
せめて息子に再会出来ないかという白虎の願いに、吹奇は仕方なく受け入れる事に。ところがその夜、右手だけの状態から復活した蛇道が彼らを襲撃。羅針盤を持って逃げ込むが追いつかれる。白虎は蛇道に喰われそうになるが、二人によって札に封じ込められ事無きを得るが、大河は蛇道の強大な力に太刀打ち出来ず、羅針盤と共に吹奇が連れ去られてしまう。
自分の非力さに嘆く大河だったが、吹奇が残した魔導筆に白虎を初め聖獣達全員が封じ込められていたのだ。実は吹奇は連れ去られる前に、聖獣達を羅針盤から吹奇の魔導筆に封じ込めた。吹奇はおとりとなって連れ去られたのだ。
身代わりになった吹奇を救う為、大河は自らの寿命が縮む代わりに聖獣達から力を借りて助けに向かう。その頃、連れ去られた吹奇は、空の羅針盤を見た蛇道に対しお前の負けだと叫ぶが蛇道は何も思わず、吹奇に対し真の目的を告げる。
その目的は、吹奇の体の中にいるもう一つの聖獣、"麒麟"の力を手にする事だった。
かつては女魔戒導師だった蛇道は麒麟の力を継ぐはずだったが、より強い能力者が産まれた事で破綻。怒りに震えた蛇道はその赤ん坊の夫婦を襲い、夫婦は命を懸けて赤ん坊を守り抜いた。その子が吹奇だったのだ。
吹奇が襲われそうになった瞬間、聖獣の力を受けた大河が現れ、蛇道と激突する。
聖獣の力を借りた大河に太刀打ち出来ないと悟った蛇道は、吹奇の中の麒麟を奪おうとするが、吹奇を助けようとした玄武が代わりに蛇道に取り込まれてしまう。ホラー形態となった蛇道に、大河は牙狼になるが太刀打ち出来ない。何とかして玄武を救うには、蛇道の中の邪気を斬るしかない。大河は幼い時に白虎から教わったある試練を思い出していた。それは、肉体を斬る事無く、体内の邪気を斬るという物。幼い時の見えない邪気を斬るという感覚を思い出し、牙狼となった大河は、見事に蛇道の体内の邪気を斬り、玄武を救う。
怒り狂った蛇道は蛇道龍という真の姿となり、牙狼に襲い掛かる。
吹奇は麒麟の力を解き放ち(その時に服装がまさに麒麟ともいえる色合いになる為注目)、五聖獣の力を纏った牙狼は渾身の刃で蛇道龍に立ち向かう。この時のクライマックスシーンがこれぞ雨宮慶太ワールド全開で圧巻(凄)。
刃は蛇道龍を貫き、蛇道は消滅した。
かくして聖獣をめぐる壮大な激闘は幕を閉じた。
一段落した事もあり、大河と吹奇は白虎の息子である老人の屋敷を訪れ、白虎は80年ぶりに見た息子の姿に安堵した。
そこで大河は白虎に体を移させ、白虎となった大河は老人を訪ねる。老人となった息子は父親である白虎をを覚えていた。再会を果たした両者を見守る吹奇。すると、吹奇の目の前に、かつて自分を命を懸けて救った両親の幻影が現れ、初めて親の顔を見た吹奇は涙した。
かくして羅針盤は奉納され、二人は別れる事に、吹奇は別れ際に大河に対しこう言った―――「強くなれ」と。
英霊の森で阿門法師(ここで牙狼一作目の繋がりを意識)の屋敷に向かう大河は、ある青年に出会う。青年は絵のモデルを探していたら、いつの間にか迷い込んだという。大河は青年の目の前に咲いていた白い花を勧める。
―――「なかなかの美人さんでしょう」その花を気に入った青年はスケッチを始めた。
―――冴島大河という、強く逞しき存在が、強くなるまでを描いた映画は、所々にかつてその大河を演じた渡辺裕之への思いが散りばめられていた。正直、ナベさん(渡辺裕之)の大河を見て牙狼を観出した自分だが、初めてスクリーンで見た牙狼がこの映画で良かったと言えるほど、人生で一番忘れられない映画となった。主演を務めた北田くんを見る度に、次第にナベさんに見えるほど(末期)。
トドメはエンディング。「今朝の美人達」と名付けられた一枚のローダンセマムの写真が写されるが、その写真を撮った人物が渡辺裕之とクレジットされている。これは彼が最期にインスタで投稿した写真の一枚である事を記しておく。
(2025.12/1)
☆×5(傑作)