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「​何で勝手に行った!!」

―――何で勝手に行った!!

彼氏の怒号がLINE電話にこだました。その日の自分はパチンコにぼろ負けして、生きる気力を失せて飛び降り自殺をしようとした。でもあの時の"彼"の声を聞いて我に返り、飛び降りをやめた。

やめた瞬間に彼氏から連絡が入った。

散々怒られた後に帰ってきた返事は、

―――何とか無事に帰ってきてよかった。

安堵する様に無事を喜んだ返事だった。

​思えば自分は彼氏にも内緒でパチンコに行っていた。その度に彼氏に怒られてきた。彼氏は感づくのが早く、自分がパチンコを打ってる最中にも、"勝手に(パチンコ)行かないでください(笑)"とLINEが来る。

彼氏は鋭い程、勘が強く、自分の"不正"も瞬時に見抜ける。その為、パチンコに行く時は必ず彼氏に"行って来ます"とLINEしなければならない。

何度も彼氏と言うのも何なので、呼称である"村ちゃん"と言っておこう。

村ちゃんとは十年以上付き合っている。彼との出会いは自分がまだ実家暮らしだった時、近所のグラウンドでの盆踊りで出会った。当時の作業所の仕事仲間が連れて来たのだ。

顔が俳優の中谷一郎(水戸黄門の初代風車の弥七で有名な人なんだが、それだけじゃわからん人もいるから詳しくはググれ)に似ていたので、その顔立ちに惚れこみ近寄った際に、仕事仲間が彼を紹介してくれた。

それがきっかけで後に交際し始めてかれこれ十五年目。ちなみに村ちゃんは自分より十三歳上。

さっきも言ったが村ちゃんは人一倍勘が鋭く、自分の"不正"を見破る。そして心配性である。

 

実は自分はパチンコで二度も人生を失敗している。

今はもう無いが鳳のとあるパチンコ店で負けて苛立ち、怒鳴り散らして暴れた挙句、警察を呼ばれ、そのまま保護され入院した事がある。

それだけじゃない、退院して約半年後、別のパチンコ店でまたも負けて、帰りの電車を待つ最中に飛び降りようとして、客が電車を止め、その場の駅員にによって連れられ、またも警察に保護され入院処置。

これは自分にとっても消し去りたい黒歴史である。それ以来、自分はパチンコに行く際は頓服を飲んで行く様になった。イライラを抑える為である。村ちゃんはそれを知り、この様な事が二度と起きない様にと、自分がパチンコに行く際は連絡してほしいという事になった。

そして、あの時の飛び降り未遂である。

その時は我を忘れていた。だが"彼"の声を聞いて我に返った。その時の事は村ちゃんには伝えなかったが、あの時は自分でさえも驚いていた。

あの渡辺裕之が自分を助けるなんて思っていなかったからだ。

そしてあの日から裕之さん―――"ナベさん"は時折、自分の側に"現れる"様になる。

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