支えてくれる"ナベさん"
"無理しなくていいんだよ。君には支えてくれる人達がいる。ゆっくりで良いんだ。急がなくていい―――"
ふと、ナベさん(渡辺裕之)が後ろから抱きしめて呟いた。ゆっくりで良いという言葉に何だか心が安堵し、落ち着いた気分になり、嬉しくなった。
そこで目が覚めた。夢だったけど、嬉しかった。あの時、ナベさんのインスタに助けを求め、逢いたいという思いを伝えたら、夢だけど逢う事が出来た。
"夢でも会いに来てくれてありがとうございます。もう少し、無理しないで生きてみます"
あの後、彼のインスタに感謝の言葉を綴った。
あの夢を見た後に考えた。自分は未だに焦っていたのだと。
ナベさんに助けられた夏の初めは落ち着いていたが、それがアダになって安心し過ぎていた。自分で何とか出来ると思い込んでしまい、突き進んでいった結果、焦りが出てしまった。パソコンを買い替えなきゃいけない、その為には働き詰めにならなければいけないと考え込んでしまい、自分に余裕が無くなっていた。
その結果、自分を追い詰めていたのだ。
自分の周りの人々の事を思い返してみた。いつも毎週泊まりに来る彼氏、自分の貯金を大切に管理してくれている相談員、たまに買い物に付き合ってくれる自分の家族、無理しないでと電話越しに言ってくれる長年行ってる作業所の職員…自分の周りにはたくさんの支えてくれる人達がいる。自分はその人達の事を忘れていた。
それが身に染みた出来事が起きた。
体調を整え、復帰しようとした矢先に風邪を引いた。幸いコロナでもインフルでも無かったので一安心したが、自分としては痛手だった。でもこれを機にちゃんと休養を取る機会となり、今度はしっかり休む事が出来た。
改めて自分のメンテナンスが大事だと感じられた。
体調が回復してからはマイペースで過ごす事で、仕事も順調に進める様にもなり、自分なりの仕事の仕方も生き方も見つけ始めた。
時折、自分のこれからも考える。自分はこれからもボカロ曲を作って、様々な作品を発信したい。その為には仕事もコミュニケーションも必要になると考え、人見知りだった自分は、少しづつであるが、仕事仲間とも話をする様になった。楽曲の作風も工夫しようと考え始めた。こうして自分は少しづつ自分を取り戻していった。
あの時の夢の中のナベさんは優しい顔をしていた。
まるで自分を心配する様に。
あの時のナベさんがいなかったら、自分は人生に迷い続けたかもしれない。
そこまでして自分を救ってくれたナベさんに感謝の歌を届けたい―――
恩返しのつもりで、自分はある曲の制作に取り掛かった。