「渡辺裕之が死んじゃった」
youtubeで最初に公開されたこの曲は、曲自体の作り方も大幅に変えた、自分にとっては大きな一歩となる野心的な曲だった。じゃあ何故、「渡辺裕之が死んじゃった」というタイトルなのか。その由来は、彼氏からある話を聞いたからであった。
彼氏こと村ちゃんは情報通である。村ちゃんは適応障害を持つ障害者だが、障害者を支える福祉の仕事をしている。
作業所に通いながら、住んでいるグループホームを日夜掃除しつつ、ヘルパーの資格を持っている為、ガイドヘルパーにも励みながら日々を過ごしている。毎週金曜には自分の家に外泊し、会話や映画を楽しむ。最近は「虎の流儀」というコミカルかつごく最近の任侠映画にハマってる様だ。何せこの映画はナベさん(渡辺裕之)が最後に出演した任侠映画だと言われている。
村ちゃんは様々な話をしてくる。福祉の現状、グループホームでの日々、様々なゴシップ―――色々話してくる。
特に芸能界の話には毎回驚かされる。彼の母親が昔、スナックで働いてた為、芸能関係者らも通っていたのもあり、芸能人のいろいろな談話を聞いていた。勿論、ナベさんの事も―――ナベさんは精悍な風貌とは裏腹にメンタルが弱く、心配性だったという。ナベさんのウィキペディアを見ても、コロナを機に更に心配になり、自律神経失調症になってしまったと書かれていた。メンタルヘルスにも通い、治療をし始めようとした直後に、ナベさんは命を絶った。あまりにも突然のその出来事は、ファンにも大きな衝撃を与えたのは言うまでもない。
ある日、村ちゃんはこんな話をしてくれた。それは、そんなナベさんのファンだった女性の話だ。
その人は統合失調症の障害を持っていた。彼女はあの時、ナベさんが命を絶ったあの時、その突然の訃報に愕然となり、あまりのショックに後を追おうと飛び降りてしまった。
幸い、足から落ちた為、重傷を負ったものの、一命を取り留めた。しかし足等を複雑骨折した為、今もリハビリを続けている―――。
自分はその話を聞き、衝撃を受けた。確かに大好きだった人が突然この世を去るという出来事に心が耐えられなかったが為に、後を追おうとした―――好きな人がもういない、二度と会えないと思うとそれが耐えられなかったのだろう。この出来事は何があっても伝えなきゃいけない。そう思い、この曲を作り上げた。
「渡辺裕之が死んじゃった」
それは、二度と会えないその人に心底会いたいという、その女性の思いが込められた曲でもある。それと同時に、自分がナベさんに一度でもいいから会いたかったという思いも込められている。
ニコ動がダウンしている間、自分はyoutubeに「リレイアウター」のカバーと、その年の冬のボカコレに初めてREMIX部門で出した「まにまに」のアレンジカバーをニコ動運営の応援のつもりで投稿した。しかし一方で、ニコ動が使えない苛立ちからパチンコに幾度も向かう様になり、金遣いが荒くなっていた。このままじゃ破滅する、ましてやこんな時に金を使っている場合じゃない、しかし、それでもパチンコに通い続け、負けが重なり、最早生きる気力を失くしてしまった。
そして、ナベさんが降り立った、あの飛び降り未遂である。