そして、二〇ニ五年
二〇ニ五年一月一日。午前零時過ぎ。この時を迎えた自分はいろいろな気持ちで迎えた。
長くて短い一年が終わり、新たな一年が始まった。
思えば、厄年だった去年は念入りに厄払いに行ったがそれも敵わず、パソコンの買い替えを余儀なくされ、パチンコも負けが続き、自転車も寿命を迎え、電動から手動へと買い替え、自分のボカロP活動の拠点だったニコニコ動画はサイバー攻撃でダウンし、曲が思う様に作れず、更には障害の区分も下がって、長年行ってた作業所に行けなくなった。
不運続きで心が壊れかけた。
―――そんな時に、あの人が自分を助けに来た。
人生が嫌になり、命を捨てようとした時、「死んだら僕みたいになる」と、姿が見えなくても、自分を助ける為に声を掛けてくれた、渡辺裕之さん。
ナベさんが声を掛けてくれなかったら、自分は今頃どうなっていたか―――あの声が自分を鼓舞してくれたのは言うまでもない。
パソコンを買う為一念発起し、ラシクラボという新たな作業所で働き始め、曲作りを学び、youtubeで曲を投稿し、ニコニコが復活してからは、ぼかえりやテトの日、強弱UTA合戦にも参加した。
パチンコは相変わらず行ってたが、勝ったお金は好きな物を買ったり食べに行ったりと、更に賭ける事が少なくなった。
―――やれば出来るじゃないか、自分。
出来ないと嘆いていた自分を奮い立たせ、もがく様に挑み続けた。
マイペースを心掛け、常に前を向く様にと、見えないナベさんに誓った。
―――"焦らなくていいんだ。ゆっくりでいい"
ナベさんの声が聞こえた気がした。
元日の朝、母が作ってくれた一人前のおせちを食べ、昼には彼氏の村ちゃんと初詣へ。おみくじは大吉だった。
それからパチンコへ行き、その日は勝った。帰ってからは村ちゃんと一緒に、母からもらった冷凍カニでカニしゃぶを食べた。茹で汁は雑炊にした。何気ない正月が嬉しく感じた。この何気なさが、自分に欠けてた大切な何かだったかもしれない。
自分は焦って今すぐじゃなきゃどうにもならないと思うせっかちな性格だった。しかし、それが災いして幾度と悲劇に見舞われた。それでずっと後悔してきた。時間を戻したいとさえ思った程だった。でも時間は進むし戻せない。それどころか更に不運になる。それをずっと繰り返してきた。だから改めて思ったのは、ゆっくりでいいという事。
焦り過ぎても何も変わらない。ならばゆっくり進めば少しは変わる事が出来る。この一年間で自分が学んだ事だ。
焦らなくていいんだ。焦らずゆっくりと。
それが心に身に染みた。
ナベさんはその事を伝えにやって来たのかもしれない。彼自身も焦って、心を壊してしまって、姿が見えなくなってしまった。
自分がそうならない為にと、あの時に自分を助けたのかもしれない。
改めてお礼を言いたい。ありがとう、ナベさん。