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一章:経緯:1-1

考えられない人達―――

彼らに向かって告げたその一言に、ある人らは堪えた様だ。

それは、この状況下を打破しようと必死になっている政治家達だった。

「どういう事だ!?これは私達に対して無礼な言い方ではないか!」

未来党の政治家、桂徳郁にはさっきの一言を侮辱だと感じ取った。

それを聞いた女性がとんでもないと感じ取った様に声を荒げた。

「何よ!あなた達こそいい加減じゃないの!」

声の主はその未来党と敵対する優民党の党首を務める、二岡瞳という女性だった。

その彼女の姿を見た一人の男が咄嗟に立ち上がった途端、あろう事に罵声を放った。

「黙れ、売国奴が!!そうやって自分は正義だと偽ってるだけだろ!!」

男は二岡に睨みつける。その形相は鬼の様だ。

何故、男は二岡に対し売国奴と叫んだのか、すると男は二岡に向かって指を指して更に言った。

​「お前はこの国を守ろうと嘘を言って、本当は自分の党の利益と自分の家族の財産の為に動いてるだけだろ?人権法という表向きは人権を守ると言いながら、日本人の殲滅を企んでるんだろ!?」

男が言う人権法という法案は二岡が所属する優民党によって提出された物で表向きは人々の人権を保護するという権利を謳った物だが、中身を見れば多国籍でも日本国籍として扱われるという懸念が多く、現政権の未来党によって廃案にされたが、最近になって名称を変えて再び提出しようとしていた事が明らかになり、ネトウヨらからは反発の声が多かった。

しかもそれを行ったのは党首になった二岡自身であった。

二岡はその事を言われて黙ってはいられない。

「そんな事ありません!私はこの日本国民の為の法案を提出しただけの事で、決して日本を侮辱する為に作ったのでは無いんです!」

しかし、二岡の表情はあたふたしている様にも見えていて、辺りは彼女に対し疑いの目を広げた。

​それよりももっとあたふたしているのは、アイドルの寺西佐江であった。

chapter:1-2

抽象ライト
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